執筆著書

執筆著書をご紹介します。

2016年11月06日 執筆著書

眼科臨床エキスパート 「眼形成手術 眼瞼から涙器まで」

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「Baggy eyelid」

p287-293

林憲吾

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Baggy eyelid とは、いわゆる「下まぶたのたるみによるふくらみ」を意味します。

眼の周りには眼窩脂肪と呼ばれる脂肪の塊がありますが、この脂肪を抑える薄い透明な膜(眼窩隔膜)が、加齢によって薄く弱くなってきます。さらに、まぶたの皮膚やその下の眼輪筋のゆるみにより、眼窩脂肪が徐々に前方に出てくると、下まぶたにふくらみが現れてきます。40歳代くらいから徐々にこの加齢性の変化がみられます。

軽度のbaggy eyelidは、視機能に異常をきたすものではありませんので、整容的に改善を希望される場合は、健康保険適用の手術ではなく、自費の美容外科による手術となります。

重度のbaggy eyelidで、まぶたのふくらみにより、メガネのレンズに下まぶたが触れてしまう場合や視野障害となる場合、視機能の改善のために手術を検討することがあります。

手術は、下まぶたの皮膚から切開する方法(経皮アプローチ)とまぶたの裏の粘膜から切開する方法(経結膜アプローチ)があります。

経結膜アプローチは、皮膚を切開する必要がなく、粘膜側から3か所の眼窩脂肪を適量切除する方法で、軽度のbaggy eyelidに良い適応です。主に美容外科で行われることが多い術式です。

経皮アプローチには、主に2つ術式があります。

まつ毛から数ミリしたのラインで皮膚を切開し、眼窩隔膜を切開します。眼窩隔膜内の眼窩脂肪を①切除するのか②移動させるのか、で2つの術式に分かれます。

①単純眼窩脂肪切除

下まぶたの眼窩脂肪は3つのコンパートメントに分かれており、この3つの脂肪のかたまりを適量切除します。ただし、脂肪を多く切除しすぎると、下まぶたがくぼんでしまいます。

②眼窩脂肪移動(Hamra法)

脂肪を切除するのではなく、下まぶたのふくらみの下に溝ができている部分に脂肪を移動させる術式です。下まぶたを触ると固い頬の骨に触れますが、この頬の骨の表面にある骨膜に脂肪を固定します。

上記の3つの術式の手順と術中写真および術前後の例を含めて解説しました。

 

 

 

2016年10月27日 執筆著書

臨床眼科 2016 美しさを追求する眼形成

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眼瞼手術の基本手技+仕上がりを高めるコツ

「退行性下眼瞼内反症」

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加齢に伴う逆さまつげで最も多く見られるのが、眼瞼のゆるみによって内側にひっくり返る「眼瞼内反症」です。

 この内反症を診察するうえでの検査のポイントと手術方法について解説しました。

検査では、縦方向のゆるみと横方向のゆるみを確認する必要があります。横方向のゆるみを簡単に確認する方法として、pinch testと呼ばれる方法があります。これは下まぶたを手前に引っ張って何ミリ眼球から離れるかを調べる方法で、8mmを越えると横方向のゆるみがあると判断されます。

手術方法として、大きく分けると切開法と埋没法があります。切開法には、縦方向の筋肉を短縮固定する術式と横向きの筋肉や靭帯を短縮する方法があります。

埋没法には、従来の縦方向を矯正する埋没法と、私が主に施行している横方向の埋没法(Wide everting suture)があります。

本稿では、出血の少ない高周波メスで皮膚に1~2mmの小さな穴を開けて、太いゴアテックス糸(CV-5)を用いて、水平方向に短縮するWide everting sutureについて手順を解説しました。

外来診察で水平方向の弛緩が認められた内反症であれば、この埋没法は、出血も少なく、10分程度で施行可能ですので、特に抗凝固剤などを内服中のご高齢者には、非常に有用な術式です。

 

 

 

2016年04月06日 執筆著書

眼科診療クオリファイ 眼形成手術

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クオリ

①眼形成手術の基本

 眼瞼の解剖 p2~11

②眼瞼の機能異常

 先天眼瞼下垂の手術 p86~96

 林 憲吾

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①眼瞼の解剖をいくら模式図で見ても、実際の組織を見ないと想像もできません。上眼瞼および下眼瞼の内部組織が識別できるように、皮膚から一層づつ剥離した術中の写真18枚を提示して、各組織について解説しました。どこに何があるはずなのか、内部の構造が細部にわたり把握できていれば、術中に自信をもって各組織を剥離進展することができます。

②先天性の眼瞼下垂で軽度の場合は、挙筋短縮術で対応可能ですが、重度の先天眼瞼下垂の場合、挙筋が先天的に非常に薄く伸縮性がないため、挙筋を短縮してもまぶたの正常な動きができないため、おでこの動きがまぶたに伝わりやすくする前頭筋吊り上げ術が必要となります。

先天眼瞼下垂の手術適応と手術時期、前頭筋吊り上げ術に使用する吊り上げ材料の種類と実際の術式について各術式のメリット、デメリットを含めて解説しました。具体的には、ナイロン糸などでループ状に結紮する一時的な吊り上げ、大腿筋膜やゴアテックスなどシート状の材料をまぶたの中の瞼板とおでこの中の前頭筋に直接固定する永久的な吊り上げなどについて解説しました。

 

2016年02月28日 執筆著書

眼科診療クオリファイ 近視の病態とマネジメント

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978-4-521-73925-0

① 強度近視の眼底病変とその疫学

眼底病変の進行過程 p177~186

②近視性網脈絡膜萎縮

進行過程と予後  p273~p281

林 憲吾

 

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①強度近視により眼底に様々な変化が起きますが、その変化にはいくつかのパターンがあります。その眼底変化について、東京医科歯科大学の強度近視外来で1000人を超える膨大な診療記録から作成した長期的な自然経過の分類について解説しました。

②強度近視による網脈絡膜萎縮のなかでも、眼底の中心部(黄斑)が萎縮する黄斑萎縮と呼ばれる病変は、中心視野と視力の障害をきたします。この黄斑が萎縮する原因として最も多いのは、近視性脈絡膜新生血管(近視性CNV)です。この近視性CNVが発生すると、無治療では約90%と高率に黄斑萎縮へ進行し、矯正視力が0.1未満となります。そこで何らかの治療が必要となります。光線力学療法(PDT)および抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法について、その特徴や治療予後について解説しました。

2013年から近視性脈絡膜新生血管に対して、抗VEFG療法が保険適応となり、一般的に治療を受けることが可能となりました。

 

2015年10月25日 執筆著書

眼科臨床エキスパート:知っておきたい眼腫瘍診療

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9784260023948-B-1-L

悪性眼瞼腫瘍の治療、手術 p50~57

林 憲吾、嘉鳥信忠

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眼瞼の悪性腫瘍を疑う場合、完全切除が原則であり、腫瘍に安全域を含めて切除する必要があります。切除する部位と範囲によって、切除方法が異なり、さらに切除後の再建にも様々な手術方法があります。

比較的小さい腫瘍であれば、単純に眼瞼を全層切除し、断端を逢着するという単純縫縮で対応できますが、大きい腫瘍であった場合、切除部位をカバーするために再建が必要になります。皮膚側(前葉)の再建として、rhomboid flap(菱形皮弁)、Dufourmentel flap、bilobed flap(双葉皮弁)、V-Y前進皮弁、cheek rotation flap(頬部回転皮弁)、眼輪筋皮弁、lateral orbital flap(外側眼窩皮弁)などがあります。粘膜側(後葉)の再建として、口の中の硬口蓋粘膜、鼻の中の鼻中隔粘膜軟骨などがあります。全層(前葉と後葉)の再建として、下の瞼を上の瞼へ移植するSwitch flapなどがあります。具体的な手術方法とその症例を提示して説明しました。

2015年05月11日 執筆著書

日本眼科手術学会雑誌

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トピックス

眼瞼形成術の現状

林 憲吾

日本眼科手術学会雑誌 28:207-211,2015.

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眼瞼下垂症手術の各アプローチ法について、適応と模式図および術中の写真を含めて解説しました。さらに海外での術式の選択についても国内と比較して紹介しました。

国内では皮膚を切ってまぶたの中に入る経皮アプローチが主流です。一方、欧米では経皮アプローチは一般的に行われていますが、まぶたの裏の結膜から入る経結膜アプローチも多く行われています。

術式として、挙筋腱膜タッキング、挙筋腱膜前転法、Muller筋タッキング、挙筋短縮術、前頭筋吊上げ術を模式図と術中写真とともに解説しました。

また、挙筋機能不良な先天性眼瞼下垂などに適応される前頭筋吊り上げ術に使用する吊り上げ材料についても国内外の現状について紹介しました。国内では乳幼児には一時的な吊り上げとしてナイロン糸などの縫合糸を使用して、4歳前後から永続的な効果を期待できる大腿筋膜やゴアテックスシートなどが使用されることが多いですが、アメリカの眼形成学会のメンバーによるアンケート結果をまとめた報告では、日本国内では販売されていないシリコンロッドを使用することが最も多いようです。

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