2016

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2016年07月02日 国内学会発表・講演

第5回 日本涙道・涙液学会

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経涙小管レーザー涙嚢鼻腔吻合術(レーザーDCR)の短期成績

林 憲吾

レーザーDCR 2016.7.2.

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涙目やメヤニの原因となる涙道閉塞(鼻涙管閉塞)に対する一般的な治療は、涙道内視鏡を用いて閉塞している部位を開けて、涙道用のチューブを入れる(涙管チューブ挿入術)が第一選択です。

ただ、この涙管チューブ挿入で、すべての患者さんが治癒するわけではなく、一定割合で再閉塞がみられます。国内の400例を超える大規模な調査では5~6年と長い期間でみると、3人に1人くらいの割合で再閉塞することが報告されています。当院で2015年7月から2016年6月までの1年間に406例の涙管チューブ挿入を施行しましたが、印象として15%くらいの患者さんに再閉塞がみられ、5%の患者さんは涙嚢鼻腔吻合術(DCR)を追加で施行しました。

この涙嚢鼻腔吻合術は、涙の通り道の途中に、鼻の中へ抜ける別の道を開ける手術です。従来の皮膚を切開して行うDCR鼻外法と、最近の主流となりつつある鼻の中から内視鏡を用いてドリルなどを用いて開けるDCR鼻内法があります。局所麻酔で手術も可能ですが、手術時間も長く、鼻出血もあるため、全身麻酔で施行する施設の方が多いのが現状です。私もDCRが必要な患者さんは、横浜南共済病院あるいは聖隷横浜病院に入院して頂き、全身麻酔で手術を担当させて頂いております。

近年、半導体レーザーを用いて、短時間で局所麻酔で施行可能なレーザーDCRが注目されています。国内での報告はまだ少ないですが、海外では数多くの報告があり、手術の数年後の成功率(涙目の消失)は70%前後という報告が多いようです。当院でも2015年から日帰りで局所麻酔で行うレーザーDCRを始めております。今回、当院で施行した15例の経過とその手術動画について報告しました。

DCR鼻内法とレーザーDCRを組み合わせた低侵襲な手術を目指し、その治療成績の向上にむけて取り組んでいます。

 

2016年04月06日 執筆著書

眼科診療クオリファイ 眼形成手術

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クオリ

①眼形成手術の基本

 眼瞼の解剖 p2~11

②眼瞼の機能異常

 先天眼瞼下垂の手術 p86~96

 林 憲吾

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①眼瞼の解剖をいくら模式図で見ても、実際の組織を見ないと想像もできません。上眼瞼および下眼瞼の内部組織が識別できるように、皮膚から一層づつ剥離した術中の写真18枚を提示して、各組織について解説しました。どこに何があるはずなのか、内部の構造が細部にわたり把握できていれば、術中に自信をもって各組織を剥離進展することができます。

②先天性の眼瞼下垂で軽度の場合は、挙筋短縮術で対応可能ですが、重度の先天眼瞼下垂の場合、挙筋が先天的に非常に薄く伸縮性がないため、挙筋を短縮してもまぶたの正常な動きができないため、おでこの動きがまぶたに伝わりやすくする前頭筋吊り上げ術が必要となります。

先天眼瞼下垂の手術適応と手術時期、前頭筋吊り上げ術に使用する吊り上げ材料の種類と実際の術式について各術式のメリット、デメリットを含めて解説しました。具体的には、ナイロン糸などでループ状に結紮する一時的な吊り上げ、大腿筋膜やゴアテックスなどシート状の材料をまぶたの中の瞼板とおでこの中の前頭筋に直接固定する永久的な吊り上げなどについて解説しました。

 

2016年03月08日 その他の活動

ライフネット生命 涙道狭窄手術の現場レポート 

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ライフネット生命の日帰り涙道手術の取材をうけました。

詳しくは下記のライフネット生命のレポートHPをご覧ください。

http://media.lifenet-seimei.co.jp/2016/02/12/5958/

2016年02月28日 執筆著書

眼科診療クオリファイ 近視の病態とマネジメント

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978-4-521-73925-0

① 強度近視の眼底病変とその疫学

眼底病変の進行過程 p177~186

②近視性網脈絡膜萎縮

進行過程と予後  p273~p281

林 憲吾

 

コメント

①強度近視により眼底に様々な変化が起きますが、その変化にはいくつかのパターンがあります。その眼底変化について、東京医科歯科大学の強度近視外来で1000人を超える膨大な診療記録から作成した長期的な自然経過の分類について解説しました。

②強度近視による網脈絡膜萎縮のなかでも、眼底の中心部(黄斑)が萎縮する黄斑萎縮と呼ばれる病変は、中心視野と視力の障害をきたします。この黄斑が萎縮する原因として最も多いのは、近視性脈絡膜新生血管(近視性CNV)です。この近視性CNVが発生すると、無治療では約90%と高率に黄斑萎縮へ進行し、矯正視力が0.1未満となります。そこで何らかの治療が必要となります。光線力学療法(PDT)および抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法について、その特徴や治療予後について解説しました。

2013年から近視性脈絡膜新生血管に対して、抗VEFG療法が保険適応となり、一般的に治療を受けることが可能となりました。

 

2016年02月27日 国内学会発表・講演

第27回 日本眼瞼義眼床手術学会

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ゴアテックスⓇシートを用いた前頭筋吊り上げ術の再手術および吊り上げ材料の病理組織

林 憲吾

YSM ゴアテックス病理 

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重度の眼瞼下垂症に対して、通常の挙筋短縮術で矯正不能な場合、前頭筋吊り上げ術という手術が必要となります。まぶたとおでこの筋肉を連結させる吊り上げ素材として自家組織(自分の足の筋膜など)と人工材料(糸やシリコンやゴアテックスなど)があります。片面に凹凸があり、もう片面は平滑な人工硬膜ゴアテックスMVPシートを使用した前頭筋吊り上げ術は、再発率が低く長期成績が良好であることを以前報告しました。低矯正であった場合、眉毛の上を切開してゴアテックスシートの長さを調整して再固定します。その際にゴアテックシートの凹凸のある面は周辺組織との癒着があり、平滑面は癒着がなくカプセルが形成されています。その組織の病理所見について報告しました。

2016年01月31日 国内学会発表・講演

第39回 眼科手術学会

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インストラクションコース

各手術機器における眼瞼下垂手術 vol.8

~ターゲットは挙筋腱膜?ミュラー筋?~

上眼瞼の解剖、挙筋腱膜タッキング、挙筋腱膜前転法など

林 憲吾

図2 2016 手術学会 インスト 腱膜 2016.1.26

コメント

昨年に引き続き、挙筋腱膜を中心として前転法を動画と模式図を用いて解説いたしました。

挙筋腱膜のみの前転では、重度の眼瞼下垂に対応できない場合があり、そのような場合は、術中に挙筋腱膜とミュラー筋を同時に前転する挙筋短縮術や、さらに挙筋機能が不良な場合は、前頭筋吊り上げ術へ切り替える必要があります。

今回のインストラクションでは、私が昨年執刀した225名433眼瞼の眼瞼下垂の程度の割合と実際に行った術式の割合を供覧いたしました。

具体的には、8割の症例は挙筋腱膜を中心として前転で対応可能でした。

一方、2割の症例は、挙筋短縮術あるは前頭筋吊り上げ術が必要でした。

 

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