当院では患者さんの年齢や眼瞼下垂の進行度に応じて手術の術式を院長が選択し、手術を行います。下記に術式と手術の症例写真を具体的にご紹介します。
挙筋腱膜タッキング
- 最も簡単な術式です。
- 瞼板の上に腱膜の枝が張り付いている状態のまま、腱膜の根本から末梢へたぐりよせて固定する方法です。
- 軽度から中等度まで適応範囲の広い術式ですが、瞼板上に余剰組織が集まるので、腱膜と瞼板との瘢痕癒着が少ない可能性があります。
挙筋腱膜前転法
- 形成外科で広く施行されている一般的な術式です。
- 瞼板から腱膜を剥離して、さらに腱膜とミュラー筋の間を剥離します。
腱膜のみ前転して、瞼板に固定します。ミュラー筋は、前転せず、そのままの状態です。 - 比較的低侵襲ですが、重度の症例には対応できないことがあります。
ミュラー筋タッキング(ミュラータック法)
- 国内で多く行われている術式です。
- 挙筋腱膜とミュラー筋の間を剥離します。ミュラー筋のみたぐりよせて瞼板に固定します。
- 硬い腱膜をはずして、軟らかい筋肉のみを利用して短縮するため、開瞼ラインが自然な形になりやすい特徴があります。
- 軽度から中等度までの症例に適応があり、重度の症例には対応できないことがあります。
ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法
- ミュラー筋タッキング(2点)をベースとして、挙筋腱膜の後面から1点前転を追加します。
- ミュラー筋タッキングの補強、再発予防にも有用です。
- 低侵襲、簡便、短時間で施行可能です。
- 過矯正、低矯正の際、腱膜固定の1点の再調整は比較的容易に施行可能です。
- 挙筋短縮術の代わりとなる簡易術式として有用です。
挙筋短縮術
- 挙筋腱膜とミュラー筋を結膜から剥離して、両者を一緒に瞼板に固定します。
- 挙筋群の脂肪変性が強い重度の下垂例に選択します。
- ミュラー筋を結膜から剥離するので、他の術式に比べ、若干時間を要し、侵襲性の高い術式です。
前頭筋吊り上げ術
- 挙筋機能がなく、挙筋短縮術が無効な例に選択します。
- 前頭筋(おでこの筋肉)とまぶたの瞼板を吊り上げ材料で連結します。
- 目を軽く開けた状態、眉毛を上げて大きく開けた状態、目を閉じた状態、それぞれを考慮して吊り上げ幅を固定します。
院長は、これらの術式について、下記等の学会で講演しております
2022年 | 日本眼瞼義眼床手術学会 シンポジウム: 視機能と密着 「眼瞼下垂手術による角結膜の変化」 |
2021年 | 日本眼形成再建外科学会 シンポジウム: 眼瞼下垂症手術のエキスパートオピニオン「ミュラータッキング+挙筋腱膜前転法」 |
2020年 | 日本臨床眼科学会 インストラクションコース:眼形成の基本 「挙筋腱膜前転法、ミュラータッキング」 |
2019年 | 日本眼瞼義眼床手術学会 シンポジウム:眼瞼下垂 「挙筋腱膜前転法とミュラー筋タッキングの比較」 |
2018年 | 神奈川眼科学会「眼瞼下垂に対する挙筋腱膜前転法と ミュラー筋タッキングの術後ドライアイの比較」 |
2017年 | 日本眼科手術学会 インストラクションコース:各手術機器における眼瞼下垂手術 「上眼瞼の解剖・挙筋腱膜タッキング・挙筋腱膜前転法」 |
2016年 | 日本臨床眼科学会 インストラクションコース :眼形成の基本 「眼瞼下垂」 |
2015年 | 日本臨床眼科学会 インストラクションコース 眼形成の基本 「眼瞼下垂 挙筋短縮術」。 |
手術時間や費用について
手術時間
まぶたの手術は、基本的に両側のまぶたを日帰りで手術可能です。両側の眼瞼下垂の場合、左右のまぶたの形をそろえるために、基本的に両側を同時に手術することをお勧めしております。手術時間は術式や病状によって異なりますので、診察時に医師よりご説明いたします。
手術費用
当院の眼瞼下垂の手術は健康保険適用の手術です。
挙筋短縮術あるいは挙筋腱膜前転法の場合
- 3割負担の場合 両眼で約45,000円
- 1割負担の場合 両眼で約15,000円
※ 別途、お薬代などがかかります。
※ 当院の手術は、美容を目的とした自由診療ではありません。