涙道疾患とは?
涙が鼻にぬける道(涙道)が細くなったり、つまったりすると、流涙症(りゅうるいしょう)、つまり涙目を自覚します。膿がたまって目頭が腫れることもあります。
当院では、豊富な執刀実績を持つ院長による涙道内視鏡を用いた涙道の検査や、鼻内視鏡を用いた鼻からの涙道バイパスの手術も行っております。
- 涙道疾患の主な自覚症状
- いつも涙があふれそう。こぼれる。
- めやにが多い。
- 眼がウルウルしていて、見えにくい。
- 目頭が赤く腫れて痛い。
涙道疾患の治療法
治療法は大きく分けて2種類あり、
涙道閉塞の部位と程度により選択します。
涙は主に上まぶたの奥にある涙腺から分泌されて、眼の表面を潤します。その後、涙は目頭にある上下の涙点から吸引され、涙道へ流れます。
涙道は図のように
涙点→涙小管→涙嚢→鼻涙管→鼻腔(下鼻道)
という流れで鼻の中にぬけるようになっています。
1. 涙道チューブ挿入術(涙道内視鏡を併用)
主な適応は涙道の狭窄あるいは軽度の閉塞の場合で、閉塞期間が短い場合がよい適応となります。
手術内容
- 局所麻酔後、涙道内視鏡を用いて、閉塞部を押し広げ、涙道チューブを2〜3ヶ月留置し、その後チューブを抜去します。
- 所要時間は10分程度です。
- 涙道内視鏡および鼻内視鏡を用いることで、適切な部位を広げてチューブを挿入することが可能となりました。
- 涙道の閉塞が非常に強い場合は次に紹介します別の手術が必要となります。
2. 涙嚢鼻腔吻合術
(るいのうびくうふんごうじゅつ:dacryocystorhinostomy:DCR)
主な適応は、涙道チューブを抜去した後に再閉塞した場合や、鼻涙管の閉塞していた期間が長く、強度な閉塞がある場合や、閉塞により涙嚢炎を繰り返している場合は、本手術の適応となります。
※こちらの手術は、全身麻酔が必要となりますので、提携先である聖隷横浜病院に入院いただいた上で、聖隷横浜病院の耳鼻科医師と一緒に院長が手術を担当いたします。
※術前術後の検査などは当院にて対応いたします。
手術内容
- 局所麻酔で、涙嚢から鼻内へ新しくバイパスとなる道を作ります。
- 皮膚を切開するもの(鼻外法)と皮膚を切らずに鼻の内視鏡で行うもの(鼻内法)があります。
- 鼻外法は、目頭の下に皮膚のしわに沿って約2cm切開します。1週間後に抜糸します。
- 鼻内法では、皮膚は切る必要はなく、鼻の中から内視鏡で手術します。
- 所要時間は、鼻外法で1時間、鼻内法で30分です。
涙道が閉塞していると、 逆流してあふれるメヤニと涙には、緑膿菌などの細菌が多く存在していると言われています。この状態で白内障などの手術をうけると、手術の傷口から眼球内に細菌が入り「細菌性眼内炎」を起こす危険性があります。
眼内炎の発症の可能性を減らすためにも、白内障手術の前に涙道閉塞を治療しておくことが推奨されています。
左の涙道閉塞の術前後の涙の量
涙道手術例 内視鏡所見
よくあるご質問
- 痛みは、ありますか?
- 涙道の中は粘膜なので、麻酔なしで触ると痛みを感じます。
当院では、チューブ挿入の場合、局所麻酔の注射の前に必要に応じて笑気麻酔を使用し、痛みが最小限となるようにしております。
DCR手術の場合は、全身麻酔にて手術を行いますので、手術中の痛みはありません。 - 手術当日の付き添いについて
- チューブ挿入は、処置後30分程度休んで、お一人でもご帰宅可能です。
DCR手術の場合、提携先の聖隷横浜病院に入院いただく必要がありますので、付き添いの方とご帰宅いただくことをおすすめします。 - 手術費用について
- チューブ挿入の場合、3割負担で7,000円、1割負担で2,400円程度
(別途、保険医療材料チューブ代金が3割負担6,000円、1割負担で2,000円程度)
DCR手術の場合、手術費用は3割負担で70,000円、1割負担で24,000円程度です。
こちらに追加で全身麻酔と入院の費用がかかります。詳しくは手術が必要になった場合にご説明いたします。