2021年11月05日 国内学会発表・講演
第75回 日本臨床眼科学会
詳細情報
コメント
ミュラー筋タッキングは、
①手技が簡単、②瞼縁のカーブがなだらかに自然な仕上がりになりますというメリットがありますが
一方で、注意が必要なのは
①やわらかい組織を短縮しているので、6mm程度の少量のタッキングでは、早期に下垂が再発する
②10mm以上のある程度の幅をタッキングしても、2~3年と長期的にみると、徐々に下垂が再発する
③ミュラー筋が非常に薄い場合、タッキングを施行しても早期に再発する、あるいは矯正力不足となる
という傾向がデメリットと考えられます。
そこで、ミュラー筋だけではなく、挙筋腱膜も同時に前転することが理想的なのですが
挙筋腱膜とミュラー筋を一塊にして前転する挙筋短縮術は、操作が煩雑で、出血や腫脹も多く、術中の開瞼幅と術後の開瞼幅に差が生じることがあります。
そのため、ミュラー筋をタッキング(2点)した上で、挙筋腱膜の後面から1点前転を加えることで、
煩雑な操作は不要で、開瞼不足や再発予防につながる、挙筋短縮術の簡易術式として、有用であることを報告しました。