2021年12月23日 執筆著書
あたらしい眼科 ’21臨時増刊号 眼科手術Q&A
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Ⅵ 眼形成
「眼瞼下垂手術の術式と適応について」 p254~259
林憲吾
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眼科領域の主な手術として、角膜・白内障・緑内障・網膜硝子体・眼形成・小児眼科などがありますが、今回、眼形成の眼瞼下垂手術について解説させて頂きました。
眼瞼下垂手術のターゲットとなる部位として、挙筋腱膜とミュラー筋があります。
挙筋群へのアプローチとして、経皮(皮膚切開)と経結膜(まぶたの裏の粘膜から)があります。
国内では、行われている主な術式として、経皮(皮膚切開)での、挙筋腱膜前転法、ミュラー筋タッキング、挙筋短縮術、前頭筋吊り上げ術があります(当院では、これに加えて、ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法の併用を施行しております)。それぞれの術式に、一長一短がありますので、その特徴を解説いたしました。
挙筋腱膜前転法:メリット⇒再発が少ない。デメリット⇒中等度以上の下垂で前転量が多いと閉瞼不全でドライアイが長引くことが多い。
ミュラー筋タッキング:メリット⇒仕上がりが自然なカーブになりやすい、簡単、術後の眼が閉じやすくドライアイが少ない。デメリット⇒下垂の再発が多い。
挙筋短縮術:メリット⇒矯正力が強い。デメリット⇒侵襲が高い、手術時間がかかる、術後の開瞼が徐々に大きくなることがある。
ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法:メリット⇒矯正力が強い。時間も拳筋短縮術より短時間で可能。再発が少ない。デメリット⇒挙筋腱膜前転あるいはミュラー筋タッキング単独よりは時間と手間がかかる。
現在、当院では、
軽度~中等度⇒挙筋腱膜前転法
中等度~重度⇒ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法
最重度⇒前頭筋吊り上げ術
を施行しております。