2022年04月13日 国内学会発表・講演
第九回 日本眼形成再建外科学会
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上輪部角結膜炎(Superior limbic leratoconjunctivitis:SLK)は、
上方の角膜と結膜の上皮障害で
①涙液減少、②上眼瞼圧の上昇、③上方の結膜弛緩
などにより上眼瞼と眼球表面の摩擦が亢進することで発症すると言われています。
通常のドライアイは、角膜下方に上皮障害(SPK)をきたしますが
このSLKは、上まぶたの裏が擦れる部分なので眼球の上方がザラザラとした傷ができます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)で眼球突出を伴う症例では、このSLKが合併することがあります。
眼瞼下垂手術後、一時的なドライアイ(SPK)は程度の差はありますが、よく見られます。
適切な手術であれば、ヒアルロン酸点眼などで、1か月以内にドライアイは落ち着きます。
ただし、このSLKは別次元で、眼瞼下垂術前にSLKがある場合は要注意です。
眼瞼下垂手術後にSLKが著明に悪化することがあります。
このSLKの頻度は、1%未満と稀な疾患ですが、
術前にドライアイの自覚症状(ゴロゴロするなど)がある場合、
通常の角膜の下方の傷(SPK)のみではなく、SLKがないか確認する必要があります。
SLKがある場合、眼瞼下垂手術前に、適切な点眼治療と上下の涙点プラグ挿入などで
SLKを軽減した上で、眼瞼下垂手術を行うことが重要と考えます。