2015年05月24日 国内学会発表・講演
第7回 神奈川眼科学会
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通常の加齢に伴う下眼瞼の外反であれば、単純な水平方向の短縮のみで解消することが多いのですが、顔面神経麻痺による下眼瞼の外反は、下眼瞼の下垂も伴うため、単純な水平方向の短縮のみでは、下眼瞼がさらに下垂した状態で固定してしまうため、外上方向に引き上げて固定する必要があります。
今回、脳腫瘍摘出後の顔面神経麻痺による兎眼と角膜混濁の2症例で、前医形成外科で自家筋膜を使用した下眼瞼の静的再建術を施行されていましたが、下眼瞼の外反と兎眼が見られ、角膜上皮障害および混濁が著明であったため、当科にて眼瞼の再手術を施行しました。下眼瞼の外反に対して、眼窩縁の表面に移植された筋膜を切離し、Lateral tarsal stripという術式で下眼瞼の瞼板を外側の眼窩縁の裏面の骨膜へ固定することで、眼球から浮いていた下眼瞼の瞼結膜を眼表面へ接触するように調整しました。
さらに1例は上眼瞼にゴールドプレートを移植されていましたが、平らなゴールドプレートが皮膚側に突出し、皮膚が薄くなり露出する危険性があったため、プレートを摘出し、眼球曲面に沿ったカーブに曲げ直し、再度瞼板上に固定しました。
再建後、下眼瞼の外反と閉瞼不全(兎眼)は解消し、開閉瞼の状態と角膜上皮の状態は改善しました。