2022年11月12日 国内学会発表・講演
第36回 日本眼窩疾患シンポジウム
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上輪部角結膜炎(SLK)は、非常に稀な疾患で、通常のドライアイの角膜の傷ではなく、上方の結膜(白目の部分)に傷ができるものです。
ゴロゴロする異物感がありますが、角膜に傷がないため、見逃されていることもあります。
この上輪部角結膜炎がある患者さんに眼瞼下垂手術を施行すると、結膜の傷が悪化することが多いため、当院での5年間の眼瞼下垂手術症例(7996眼瞼)を調査しました。
術前からSLKを認めた症例は26眼と全体の0.3%と非常に少ないものでした。
特徴としては、女性でドライアイの自覚症状(ゴロゴロする)がある方、特に甲状腺疾患により眼球突出がある場合は、要注意です。
どのような下垂の程度(軽度~重度)でも、どの手術術式でも、SLKは術後に悪化することが多いことがわかりました。
ドライアイ点眼で約50%の症例で改善し、涙点プラグ挿入で約75%の症例で改善を認めました。
眼瞼下垂手術により、一時的にドライアイになり、かつ前転した挙筋のボリュームで上まぶたと眼球表面との摩擦が亢進し、SLKが悪化することが考えられます。
このSLKがある場合は、眼瞼下垂の手術前から積極的にSLKに対する治療を行い、眼瞼下垂手術後に一時的に悪化するため、追加治療を検討する必要があると思われます。