2012年11月26日 執筆著書
近視 基礎と臨床
詳細情報
近視性黄斑症の進行過程 p124~132
近視性脈絡膜新生血管 p133~139
林 憲吾
コメント
- 東京医科歯科大学眼科の強度近視外来で私が担当してきた2つの課題について解説しています。
- ①近視性眼底変化について:近視による眼底変化には、いくつかのパターンがあります。私の大学院の卒業論文のテーマとして、研究した課題は、40年近い歴史のある強度近視外来の1300名を越える全カルテから5年以上自然経過観察が可能であった429名806眼のデータから、その各進行パターンを解析して、新しい分類を作成することでした。この本では、そのパターンを詳しく解説しています。
- ②近視性脈絡膜新生血管(近視性CNV)について:近視性CNVは近視の中心視力を障害する原因として最も重要です。この近視性CNVは決して稀なものではなく、私が在籍した強度近視外来では、強度近視患者を3年以上経過観察すると約10%に症例に新たなCNVの発生がみられ、さらに片眼に近視性CNVが発症した症例の1/3は他眼にもCNVを発症するという比較的多い疾患と言えます。さらに、CNV発症すると、無治療では90%と高確率で黄斑萎縮を発生し視力は0.1未満になることがわかりました。そこで、積極的な治療が必要となりますが、私が7年間担当してきたPDT(光線力学療法)と抗VEGF療法(抗血管内皮増殖因子療法)について、詳しく解説しています。