2019年11月07日 筆頭和論文
日本眼科手術学会雑誌
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トピックス「眼瞼下垂手術とドライアイ」p506-511 林 憲吾
原著論文「Müller筋タッキングと挙筋腱膜前転法を併施した眼瞼下垂症例の術後成績」p577-581 林 憲吾
(同じ巻に2つ掲載されました。)
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「眼瞼下垂手術とドライアイ」
眼瞼下垂手術は、さまざまな方法がありますが、どの術式においても、眼表面への影響は起こりうるものです。
①当院におけるMüller筋タッキングと挙筋腱膜前転法との術後ドライアイについての比較
②術後ドライアイに注意すべき症例として、緑内障点眼を多剤使用中の症例、上輪部角結膜炎のある症例
上記について、解説いたしました。
緑内障点眼を多剤使用中の方は、眼瞼下垂術後にドライアイが悪化しやすい傾向があります。当院では、緑内障点眼を使用中で術前から軽度なドライアイがある方は、眼瞼下垂手術後から1か月間ドライアイ点眼を充分に使用して頂くようにご説明しております。
「Müller筋タッキングと挙筋腱膜前転法を併施した眼瞼下垂症例の術後成績」
当院では、中等度以上の眼瞼下垂に対しては、ミュラー筋タッキングを主体に手術しておりますが、ミュラー筋タッキングのみでは、開瞼が足りない場合があります。そのような場合、挙筋腱膜前転を併用した方が、開瞼がよくなり、再発も少なくなります。当院では重度な眼瞼下垂に対しては、ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法を第一選択としています。
今回の調査では、眼瞼下垂に対するミュラー筋タッキングで開瞼不足の場合、挙筋腱膜の後面から腱膜前転を追加することで、約90%の症例で開瞼幅の改善が得られました。
2019年05月24日 筆頭和論文
あたらしい眼科
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眼瞼下垂に対する挙筋腱膜前転法とMüller筋タッキングの術後ドライアイの比較
林憲吾、林孝彦、小久保健一、小松裕和、水木信久
あたらしい眼科 36(5):694-698,2019
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中等度以上の眼瞼下垂を対象に、挙筋腱膜前転法235眼瞼とミュラー筋タッキング208眼瞼の術後のドライアイを比較した結果、術後早期のドライアイの自覚症状と角膜上皮障害は、ミュラー筋タッキングに有意に少ないことを報告しました。
当院の方針として、軽度の眼瞼下垂には挙筋腱膜前転法を、中等度以上の眼瞼下垂にはミュラー筋タッキングを優先しております。
2014年02月15日 筆頭和論文
日本眼科学会雑誌
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先天鼻涙管閉塞の自然治癒率および月齢18か月以降の晩期プロービングの成功率:後ろ向きコホート研究
林 憲吾,嘉鳥 信忠,小松 裕和,大野 京子
日本眼科学会雑誌 118: 91-97, 2014.
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先天鼻涙管閉塞の症状(涙目、めやになど)は幼児の6~20%にみられると報告されています。地域集団ベースの大規模な前向きコホート研究では、1歳までに96%が自然治癒すると報告されています。そのため、1歳未満の早期治療(ブジー)を施行せずに、1歳以降に症状が残存する症例に外科的治療を施行する方針が推奨されています。聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科における小児の先天鼻涙管閉塞の治療方針として月齢18ヶ月以上に外科的治療を施行しており、過去のデータ72名82側を調査しました。その結果、地域の専門医療機関を受診する先天鼻涙管閉塞でも生後18ヶ月まで約80%は自然治癒が期待でき、18ヶ月以降に涙道内視鏡を用いたブジー(プロービング)とチューブ挿入の併用治療で高い成功率が得られることがわかりました。
2013年09月29日 筆頭和論文
形成外科
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劇症型A群β溶連菌感染症に伴う壊死性筋膜炎による下眼瞼欠損の再建の1例
One Case of Median Forehead Flap Reconstruction for Eyelid Defect Based on Necrotizing Fasciitis with Streptococcal Toxic Shock-like Syndrome
林 憲吾、嘉鳥信忠、笠井健一郎、上笹貫太郎、小久保 健一、太田 優
形成外科 第56巻 第9号,975-980(2013年9月号)
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劇症型A群β溶連菌感染症に伴う壊死性筋膜炎によるものと思われる下眼瞼欠損に対して、正中前額皮弁での再建が可能であった1例について形成外科の雑誌に報告しました。
2013年03月29日 筆頭和論文
日本眼科学会雑誌
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口唇口蓋裂を伴った涙道形成不全の1例
林 憲吾、嘉鳥信忠、笠井健一郎、上笹貫太郎、小久保 健一
日本眼科学会雑誌 117:433-437, 2013.
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顔面奇形を伴う先天性鼻涙管閉塞症では、骨性鼻涙管閉塞や涙道奇形を伴う場合があります。口唇口蓋裂を伴う先天性骨性鼻涙管閉塞に対して3回のDCR手術を施行後、長期的に良好な結果を得た1例の経過について報告しました。 口唇口蓋裂症例に流涙症が見られた場合には,涙道形成不全を合併している可能性があるため,術前にCTで涙道および鼻腔の状態を把握することが重要であることを報告しました。
2013年02月02日 筆頭和論文
日本眼科学会雑誌
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大腿筋膜による前頭筋吊り上げ術の合併症を来した3例の特徴と治療.
林 憲吾、嘉鳥信忠、笠井健一郎、上笹貫太郎.
日本眼科学会雑誌 117:132-138, 2013.
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前頭筋吊り上げ術で使用する吊り上げ材料として、国内外で最も一般的なのは大腿筋膜ですが、その術後に筋膜拘縮がおこることが知られています。術後10年程度経過した長期合併症として、筋膜の拘縮により過矯正となり、兎眼(目が閉じれない)と内反症(逆さまつげ)が見られた3症例の治療経過を報告しました。