2017年02月04日 国内学会発表・講演
第28回 眼瞼義眼床手術学会
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まぶたは血流が豊富なため、術後に細菌感染をおこすことは、非常にまれといわれています。免疫力が下がっている状態や特殊な菌(MRSAなど)に接触する機会が多い職業などの特別な患者さん以外では、通常の眼瞼の手術で細菌感染で化膿することは、ほぼありません。
今回、職業上、特殊な細菌に接触する機会のある患者さんで術後にまぶたが腫れ、感染を疑いましたが、抗生剤(マクロライド系)によるアレルギー反応による接触性皮膚炎であった症例を提示しました。
どの薬剤でもアレルギー反応を起こす可能性は常にあり、感染かアレルギーか見極める重要性を再認識する一例の症例報告をしました。
2017年01月27日 国内学会発表・講演
第3回 Yokohama Ocular Surface Meeting (YOSM)
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横浜で行われた眼表面についての勉強会で講演させて頂く機会を頂きました。
今回は、眼瞼や涙道の手術に加えて、涙目の原因となる白目(結膜)のゆるみ(結膜弛緩)について、特に見逃しやすい眼頭の白眼の変化(半月ひだと涙丘の耳側偏位)に対する手術動画と手術前後の例を提示しました。
涙目や流涙の自覚があり、たしかに眼の表面に涙がたくさん溜まっているのに、涙の通り道に水を流すと、ちゃんと鼻へ水は通るという患者さんが、意外と多くいらっしゃいます。
そのような場合、涙の通り道に入る前の眼の表面(特に白目:結膜)にゆるみがあり、涙の流れを妨げていることがあります。通常の結膜弛緩に対しては、ゆるんだ結膜を切って縫うか、電気で焼灼するなどの方法で対応します。
ただ、見落としやすいポイントとして、眼頭の白目のところに半月ひだと涙丘と呼ばれる部分があり、その部分がゆるんで涙道の入り口(涙点)を塞ぐように迫り出してきている場合があります。そのような場合は、半月ひだと涙丘の一部を切除することで、妨げるものがなくなり、涙の流れが良くなることがあります。今回は、そのような症例を提示して解説させて頂きました。
2017年01月27日 国内学会発表・講演
第40回 眼科手術学会
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今年の手術学会での眼瞼下垂のインストラクションでは、
5名の演者が眼瞼下垂の5つの術式について解説し、
その後、30分の討論時間でいくつかのテーマについて意見を交わすという構成となりました。
私は昨年と同じ「挙筋腱膜をターゲットとした挙筋腱膜前転法を中心とした術式」を担当させて頂きました。
(今年は討論で提示するスライドに集中しました。)
中でも、ミュラー筋タッキングでは、術後に眉毛が下がらない方が意外と多い印象があり、「挙筋腱膜前転法とミュラー筋タッキングで術後の眉毛の下がり方に差がある?」というテーマで、具体的な例を提示して討論しました。
今後、術後の眉毛の下がり方について、さらに見識を深めていく必要があると再認識いたしました。
2016年12月14日 執筆著書
あたらしい眼科 16’増刊号 小児眼科 Q&A
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先天性の眼瞼下垂のお子さんで、手術を急ぐべきかどうか、ご相談にいらっしゃるご家族の方も多く、その際の判断基準と注意点について解説しました。
最も、簡便な方法として、ペンライトを正面から両眼に当てて、瞳の真ん中に光の反射が見えるかどうか(角膜反射: corneal light reflex)が一つの指標となります。この反射が見えない場合は、重度の下垂として、早期の手術をお勧めいたします。
先天性の眼瞼下垂の眼は、弱視の頻度が15%~25%といわれており、角膜乱視や斜視などが隠れていることが多いので、眼瞼下垂の手術前後の屈折検査や視力検査が重要です。
さらに具体的な手術時期とその方法について解説しました。
軽度の先天眼瞼下垂であれば、挙筋短縮術で改善しますが、重度の下垂の場合、挙筋の形成不全のため、前頭筋吊り上げ術が必要となります。この前頭筋吊り上げ術は、まゆげの上のおでこの動きをまぶたに連動させる手術で、まゆげをあげるとまぶたも開くようになります。
乳幼児から3歳までに早期手術が必要な場合は、糸による一時的な吊り上げを施行します。この糸状の材料での吊り上げは術後2~3年程度で少しづつ効果が弱まり、またまぶたが下がってくることが多いです。4歳以降であれば、顔面がある程度発育しておりますので、シート状の材料による永続的な吊り上げを選択します。
その際に使用される材料は、大腿筋膜やポリテトラフルオレエチレン:PTFEシートなどがあります。それぞれの材料のメリット、デメリットを解説しました。
2016年11月06日 執筆著書
眼科臨床エキスパート 「眼形成手術 眼瞼から涙器まで」
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Baggy eyelid とは、いわゆる「下まぶたのたるみによるふくらみ」を意味します。
眼の周りには眼窩脂肪と呼ばれる脂肪の塊がありますが、この脂肪を抑える薄い透明な膜(眼窩隔膜)が、加齢によって薄く弱くなってきます。さらに、まぶたの皮膚やその下の眼輪筋のゆるみにより、眼窩脂肪が徐々に前方に出てくると、下まぶたにふくらみが現れてきます。40歳代くらいから徐々にこの加齢性の変化がみられます。
軽度のbaggy eyelidは、視機能に異常をきたすものではありませんので、整容的に改善を希望される場合は、健康保険適用の手術ではなく、自費の美容外科による手術となります。
重度のbaggy eyelidで、まぶたのふくらみにより、メガネのレンズに下まぶたが触れてしまう場合や視野障害となる場合、視機能の改善のために手術を検討することがあります。
手術は、下まぶたの皮膚から切開する方法(経皮アプローチ)とまぶたの裏の粘膜から切開する方法(経結膜アプローチ)があります。
経結膜アプローチは、皮膚を切開する必要がなく、粘膜側から3か所の眼窩脂肪を適量切除する方法で、軽度のbaggy eyelidに良い適応です。主に美容外科で行われることが多い術式です。
経皮アプローチには、主に2つ術式があります。
まつ毛から数ミリしたのラインで皮膚を切開し、眼窩隔膜を切開します。眼窩隔膜内の眼窩脂肪を①切除するのか②移動させるのか、で2つの術式に分かれます。
①単純眼窩脂肪切除
下まぶたの眼窩脂肪は3つのコンパートメントに分かれており、この3つの脂肪のかたまりを適量切除します。ただし、脂肪を多く切除しすぎると、下まぶたがくぼんでしまいます。
②眼窩脂肪移動(Hamra法)
脂肪を切除するのではなく、下まぶたのふくらみの下に溝ができている部分に脂肪を移動させる術式です。下まぶたを触ると固い頬の骨に触れますが、この頬の骨の表面にある骨膜に脂肪を固定します。
上記の3つの術式の手順と術中写真および術前後の例を含めて解説しました。