2013年02月02日 筆頭和論文
日本眼科学会雑誌
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大腿筋膜による前頭筋吊り上げ術の合併症を来した3例の特徴と治療.
林 憲吾、嘉鳥信忠、笠井健一郎、上笹貫太郎.
日本眼科学会雑誌 117:132-138, 2013.
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前頭筋吊り上げ術で使用する吊り上げ材料として、国内外で最も一般的なのは大腿筋膜ですが、その術後に筋膜拘縮がおこることが知られています。術後10年程度経過した長期合併症として、筋膜の拘縮により過矯正となり、兎眼(目が閉じれない)と内反症(逆さまつげ)が見られた3症例の治療経過を報告しました。
2013年01月29日 筆頭英語論文
American Journal of Ophthalmology
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Comparison of Nylon Monofilament Suture and Polytetrafluoroethylene Sheet for Frontalis Suspension Surgery in Eyes with Congenital Ptosis.
Hayashi K, Katori N, Kasai K, Kamisasanuki T, Kokubo K, Ohno-Matsui K.
Am J Ophthalmol. 155:654-663, 2013.
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先天性の眼瞼下垂症の小児に対して、前頭筋吊り上げ術を施行しますが、使用する吊り上げ材料としてナイロン糸25名37眼瞼とゴアテックスシート31名42眼瞼の術後の合併症や再発率の比較しました。ゴアテックスシートは再発や合併症が少ない有用な吊り上げ材料であることを報告しました。
2012年11月26日 執筆著書
近視 基礎と臨床
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近視性黄斑症の進行過程 p124~132
近視性脈絡膜新生血管 p133~139
林 憲吾
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- 東京医科歯科大学眼科の強度近視外来で私が担当してきた2つの課題について解説しています。
- ①近視性眼底変化について:近視による眼底変化には、いくつかのパターンがあります。私の大学院の卒業論文のテーマとして、研究した課題は、40年近い歴史のある強度近視外来の1300名を越える全カルテから5年以上自然経過観察が可能であった429名806眼のデータから、その各進行パターンを解析して、新しい分類を作成することでした。この本では、そのパターンを詳しく解説しています。
- ②近視性脈絡膜新生血管(近視性CNV)について:近視性CNVは近視の中心視力を障害する原因として最も重要です。この近視性CNVは決して稀なものではなく、私が在籍した強度近視外来では、強度近視患者を3年以上経過観察すると約10%に症例に新たなCNVの発生がみられ、さらに片眼に近視性CNVが発症した症例の1/3は他眼にもCNVを発症するという比較的多い疾患と言えます。さらに、CNV発症すると、無治療では90%と高確率で黄斑萎縮を発生し視力は0.1未満になることがわかりました。そこで、積極的な治療が必要となりますが、私が7年間担当してきたPDT(光線力学療法)と抗VEGF療法(抗血管内皮増殖因子療法)について、詳しく解説しています。
2012年11月16日 国内学会発表・講演
第9回 お茶の水眼科先進セミナー
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眼瞼・眼窩腫瘍
林 憲吾
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眼瞼および眼窩に発生する代表的な腫瘍について、その診断や治療法を解説しました。具体的な疾患名は、眼瞼良性腫瘍として、脂漏性角化症、母斑、眼瞼悪性腫瘍として、基底細胞癌、脂腺癌、眼窩良性腫瘍として、多形腺腫、乳児血管腫(苺状血管腫)、皮様嚢腫、眼窩悪性腫瘍として、悪性リンパ腫、腺様嚢胞癌などです。
2012年11月12日 国際学会発表・講演
AAO・APAO CHICAGO 2012
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Evalution of different suspensory materials in frontalis suspension for congenital ptosis.
Kengo Hayashi, Nobutada Katori, Kenichiro Kasai, Taro Kamisasanuki
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シカゴで行われたAAO アメリカ眼科学会で、先天性の眼瞼下垂に対する前頭筋吊り上げ術に使用する吊り上げ材料としてナイロン糸とゴアテックスシートを比較した臨床研究の結果を報告しました。
2012年11月03日 国内学会発表・講演
第27回 眼窩疾患シンポジウム
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先天鼻涙管閉塞の自然治癒率および晩期プロービングの成功率
林 憲吾、嘉鳥信忠、笠井健一郎、上笹貫太郎、小久保健一
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先天鼻涙管閉塞の症状(涙目、めやになど)は幼児の6~20%にみられると報告されています。地域集団ベースの大規模な前向きコホート研究では、1歳までに96%が自然治癒すると報告されています。そのため、1歳未満の早期治療(ブジー)を施行せずに、1歳以降に症状が残存する症例に外科的治療を施行する方針が推奨されています。聖隷浜松病院 眼形成眼窩外科における小児の先天鼻涙管閉塞の治療方針として月齢18ヶ月以上に外科的治療を施行しており、過去のデータを調査しました。その結果、地域の専門医療機関を受診する先天鼻涙管閉塞でも生後18ヶ月まで約80%は自然治癒が期待でき、18ヶ月以降に涙道内視鏡を用いたブジー(プロービング)とチューブ挿入の併用治療で高い成功率が得られることがわかりました。