2022年10月15日 国内学会発表・講演
第76回 日本臨床眼科学会
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眼瞼下垂に対する手術を特集としたインストラクションコースで、前頭筋吊り上げ術について解説を担当させて頂きました。
眼瞼下垂に対する手術は、様々な術式がありますが、挙筋腱膜やミュラー筋を介して、挙筋を前転する手術がメンイとなります。
私が執刀を担当してきた眼瞼下垂11,200眼瞼中、前頭筋吊り上げ術は0.8%と頻度は非常に少ないですが、一定数この手術が必要な最重度の眼瞼下垂は存在します。
先天性の眼瞼下垂でも、軽度~中等度の下垂であれば、挙筋前転で対応可能な症例が大部分です。ただし、まぶたを挙げる機能がほぼない挙筋の変性(線維化)や欠損が著明な最重度の眼瞼下垂の場合、不適切な挙筋前転を行うと、まぶたを開けることも閉じることもできない状態となります。このような場合は、おでこの筋肉(前頭筋)の動きをまぶたに連結する「前頭筋吊り上げ術」が必要となります。
幼児の場合、重度の眼瞼下垂を放置すると視機能の発達を妨げ、弱視となってしまうことがあるため、一時的な糸吊り上げを施行します。この効果はおよそ2~3年で減弱します。中顔面が発達した5~6歳の就学前後に、永続的な吊り上げ術を施行することが理想的です。幼児のため、いずれも全身麻酔下での手術が必要となります。
永続的な吊り上げ術に使用する吊り上げ材料には、大きく分けて、自家組織(自分の足などの筋膜)と人工材料(ゴアテックス:PTFEシート)があります。
大腿筋膜は国内の形成外科では最も一般的に使用される材料です。異物反応や感染などの合併症がほぼないことがメリットです。一方で、筋膜は移植後に収縮します。既報では6か月で15%の長さが収縮するとされています。そのため、収縮を予想して、長く緩めた状態で移植固定するのですが、半年後、数年後、10年後の収縮を完全に予想することは困難です。そのため、頻度は少ないと思いますが、移植された筋膜が予想以上に収縮した場合、まぶたが閉じない(兎眼)の状態となります。この点が筋膜のデメリットとなります。この場合、移植筋膜を取り除く必要があります。
人工材料のゴアテックス:PTFEシートは現在、国内でも特定保険医療材料として、眼瞼下垂に使用することが認められ、医療機関で使用することが可能です。このシートのメリットは、術後に収縮することがないため、筋膜のように術後に徐々に過矯正となる心配がない、糸吊り上げのように下垂の再発がない、術後に低矯正であった場合は、シートの長さを再固定することでまぶたの開き方を簡単に微調整することができるという点が挙げられます。ただし、デメリットとして、人工材料ですので、異物反応として2~3%の割合で、異物反応肉芽腫や感染により露出することがあり、再手術を検討することがあります。
今回は、これらの内容を手術手技と手術前後の経過を含めて解説させていただきました。
2022年07月22日 国内学会発表・講演
第 17 回 iseminar x 教育webinar
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眼瞼疾患
~眼瞼下垂・眼瞼内反・眼瞼腫瘍~
林憲吾
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Webでの収録講演となりました。
眼科医の教育セミナーで、眼瞼手術について、解説いたしました。
2022年04月13日 国内学会発表・講演
第九回 日本眼形成再建外科学会
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上輪部角結膜炎(Superior limbic leratoconjunctivitis:SLK)は、
上方の角膜と結膜の上皮障害で
①涙液減少、②上眼瞼圧の上昇、③上方の結膜弛緩
などにより上眼瞼と眼球表面の摩擦が亢進することで発症すると言われています。
通常のドライアイは、角膜下方に上皮障害(SPK)をきたしますが
このSLKは、上まぶたの裏が擦れる部分なので眼球の上方がザラザラとした傷ができます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)で眼球突出を伴う症例では、このSLKが合併することがあります。
眼瞼下垂手術後、一時的なドライアイ(SPK)は程度の差はありますが、よく見られます。
適切な手術であれば、ヒアルロン酸点眼などで、1か月以内にドライアイは落ち着きます。
ただし、このSLKは別次元で、眼瞼下垂術前にSLKがある場合は要注意です。
眼瞼下垂手術後にSLKが著明に悪化することがあります。
このSLKの頻度は、1%未満と稀な疾患ですが、
術前にドライアイの自覚症状(ゴロゴロするなど)がある場合、
通常の角膜の下方の傷(SPK)のみではなく、SLKがないか確認する必要があります。
SLKがある場合、眼瞼下垂手術前に、適切な点眼治療と上下の涙点プラグ挿入などで
SLKを軽減した上で、眼瞼下垂手術を行うことが重要と考えます。
2022年01月29日 国内学会発表・講演
第45回 日本眼科手術学会 教育セミナー「眼瞼手術」
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今回の眼科手術学会は、コロナ拡大防止のため、急遽オンライン収録配信となりました。
教育セミナーで、睫毛内反について、手術動画を中心に解説いたしました。
極軽度な先天性の下睫毛内反には、埋没法を施行しますが
中等度以上の通常の下睫毛内反には、切開法が必要となります。
重度な睫毛内反には、睫毛とまぶたの裏の粘膜の間に切開を入れるLid margin splittingや
内眼角贅皮(蒙古ひだ)に対する、内眼角形成術(眼頭切開)などについて解説いたしました。
2021年12月01日 国内学会発表・講演
第35回 日本眼窩疾患シンポジウム
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加齢による下眼瞼の緩みが徐々に進行すると、結果的にバランスが崩れ、内側にひっくり返る逆さまつげ(内反症)となります。
この緩みは、垂直方向(下眼瞼を牽引する筋肉)と水平方向(目頭と目尻の靭帯や眼輪筋)の両方が影響していることが多く、
当院のデータでは2割が垂直方向の弛緩のみ、8割は垂直と水平方向の両行の弛緩を認めました。
現在、当院では、水平方向のテンションを確かめ、垂直方向の弛緩のみの場合は、垂直方向の埋没法を2本施行し、
水平方向の弛緩もある場合は、水平方向の広範囲な埋没法を1本施行しております。
糸はゴアテックス糸を2019年まで使用しておりましたが、ごく稀ですが肉下腫が見られるため、太い透明なナイロン糸に変更しました。
上記の術式の使い分けにより。608眼瞼で再発率は6.6%でした。(再発例には、再度埋没法を施行するか、LTSと呼ばれる目尻の靭帯を補強する手術を追加します。)
埋没法は3分程度と短時間で、ほぼ無出血で施行可能な低侵襲な手術です。