2020年01月25日 国内学会発表・講演
第43回 日本眼科手術学会 東京
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インストラクションコース「眼瞼下垂症手術 ~オーダーメイドを目指して~」
「ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法」
林 憲吾
今回の学会での眼瞼下垂についてのインストラクションコースの構成は
①挙筋腱膜前転法(原法、後面から前転する変法)
②ミュラー筋タッキング
③経結膜ミュラー筋短縮術(通糸法)
④ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法
⑤拳筋短縮術
上記の5つの術式について、5名の演者が解説しました。
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私からは「ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法」について、手術動画を含めて解説させて頂きました。
当院では、30~40代の若年者の非常に軽度な眼瞼下垂には挙筋腱膜前転法を施行しますが、
中等度以上の眼瞼下垂には、まずミュラー筋タッキングを2点施行し、術中に挙筋腱膜前転を1点追加するかを検討します。
重度な症例は、この術式が非常に有用です。
2020年01月24日 筆頭和論文
あたらしい眼科
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流涙症(涙目)の主な原因として、涙道閉塞や狭窄がまず疑われますが、涙道以外に、結膜弛緩症(白目の膜がゆるむこと)が原因となることもあります。結膜弛緩症が導涙障害となっている場合,結膜弛緩症に対して治療を検討します。結膜弛緩症に対する主な治療法として、切除法(切って縫う),縫着法(切らずに縫い付ける),焼灼法(電気で焼いて縮める)などがあります。
一方,涙丘・半月襞(目頭の粘膜のコブ)が涙点を越えて耳側に偏位していることにより,涙液メニスカスの導涙障害となっている症例もあります。この涙丘・半月襞の耳側偏位の治療には,球結膜の弛緩に対する切除法と合わせて,涙丘・半月襞の切除を併用することが報告されています。
当院では,球結膜の弛緩と涙丘・半月襞の耳側偏位のそれぞれの程度から,①焼灼法,②涙丘・半月襞切除,③焼灼法+涙丘・半月襞切除,3つの術式を選択しています。今回、涙丘・半月襞切除のみ施行した症例での治療成績を報告しました。
近年,後眼部用の光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)に前眼部観察用のアタッチメントを装着し,下方涙液メニスカスの断面の高さ(tear meniscus height:TMH)を簡便に調べることが可能となりました。
今回、術前後の涙の貯留量をこの前眼部OCTを用いて数値化し、自覚的な変化のみではなく、他覚的な数値の変化でも、有意に改善することを報告しました。
2019年12月18日 執筆著書
Pharma Medica 2019年12月号(Vol.37 No.12)
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加齢性眼瞼下垂は、加齢により眼瞼挙筋群(挙筋腱膜とミュラー筋)の薄くなったり、離れていくことによって、挙筋の収縮が伝わらなくなることでおこります。若干の左右差がみられることがありますが、通常は両側性です。今後の高齢化社会に伴い、さらに増加することが予想されます。眼瞼下垂によって上方の視野の妨げとなる場合、あきらめるのではなく、基本的には手術で治療可能であることを解説いたしました。
2019年11月07日 筆頭和論文
日本眼科手術学会雑誌
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トピックス「眼瞼下垂手術とドライアイ」p506-511 林 憲吾
原著論文「Müller筋タッキングと挙筋腱膜前転法を併施した眼瞼下垂症例の術後成績」p577-581 林 憲吾
(同じ巻に2つ掲載されました。)
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「眼瞼下垂手術とドライアイ」
眼瞼下垂手術は、さまざまな方法がありますが、どの術式においても、眼表面への影響は起こりうるものです。
①当院におけるMüller筋タッキングと挙筋腱膜前転法との術後ドライアイについての比較
②術後ドライアイに注意すべき症例として、緑内障点眼を多剤使用中の症例、上輪部角結膜炎のある症例
上記について、解説いたしました。
緑内障点眼を多剤使用中の方は、眼瞼下垂術後にドライアイが悪化しやすい傾向があります。当院では、緑内障点眼を使用中で術前から軽度なドライアイがある方は、眼瞼下垂手術後から1か月間ドライアイ点眼を充分に使用して頂くようにご説明しております。
「Müller筋タッキングと挙筋腱膜前転法を併施した眼瞼下垂症例の術後成績」
当院では、中等度以上の眼瞼下垂に対しては、ミュラー筋タッキングを主体に手術しておりますが、ミュラー筋タッキングのみでは、開瞼が足りない場合があります。そのような場合、挙筋腱膜前転を併用した方が、開瞼がよくなり、再発も少なくなります。当院では重度な眼瞼下垂に対しては、ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転法を第一選択としています。
今回の調査では、眼瞼下垂に対するミュラー筋タッキングで開瞼不足の場合、挙筋腱膜の後面から腱膜前転を追加することで、約90%の症例で開瞼幅の改善が得られました。