2021年12月01日 国内学会発表・講演
第35回 日本眼窩疾患シンポジウム
詳細情報
コメント
加齢による下眼瞼の緩みが徐々に進行すると、結果的にバランスが崩れ、内側にひっくり返る逆さまつげ(内反症)となります。
この緩みは、垂直方向(下眼瞼を牽引する筋肉)と水平方向(目頭と目尻の靭帯や眼輪筋)の両方が影響していることが多く、
当院のデータでは2割が垂直方向の弛緩のみ、8割は垂直と水平方向の両行の弛緩を認めました。
現在、当院では、水平方向のテンションを確かめ、垂直方向の弛緩のみの場合は、垂直方向の埋没法を2本施行し、
水平方向の弛緩もある場合は、水平方向の広範囲な埋没法を1本施行しております。
糸はゴアテックス糸を2019年まで使用しておりましたが、ごく稀ですが肉下腫が見られるため、太い透明なナイロン糸に変更しました。
上記の術式の使い分けにより。608眼瞼で再発率は6.6%でした。(再発例には、再度埋没法を施行するか、LTSと呼ばれる目尻の靭帯を補強する手術を追加します。)
埋没法は3分程度と短時間で、ほぼ無出血で施行可能な低侵襲な手術です。
2021年11月05日 国内学会発表・講演
第75回 日本臨床眼科学会
詳細情報
コメント
ミュラー筋タッキングは、
①手技が簡単、②瞼縁のカーブがなだらかに自然な仕上がりになりますというメリットがありますが
一方で、注意が必要なのは
①やわらかい組織を短縮しているので、6mm程度の少量のタッキングでは、早期に下垂が再発する
②10mm以上のある程度の幅をタッキングしても、2~3年と長期的にみると、徐々に下垂が再発する
③ミュラー筋が非常に薄い場合、タッキングを施行しても早期に再発する、あるいは矯正力不足となる
という傾向がデメリットと考えられます。
そこで、ミュラー筋だけではなく、挙筋腱膜も同時に前転することが理想的なのですが
挙筋腱膜とミュラー筋を一塊にして前転する挙筋短縮術は、操作が煩雑で、出血や腫脹も多く、術中の開瞼幅と術後の開瞼幅に差が生じることがあります。
そのため、ミュラー筋をタッキング(2点)した上で、挙筋腱膜の後面から1点前転を加えることで、
煩雑な操作は不要で、開瞼不足や再発予防につながる、挙筋短縮術の簡易術式として、有用であることを報告しました。
2021年05月19日 執筆著書
眼科スゴ技 眼瞼手術
詳細情報
コメント
先天性の逆さまつげ(下睫毛内反)と加齢性の逆さまつげ(下眼瞼内反)に対する埋没法について解説いたしました。
先天性の下まぶたの逆さまつげは基本的に切開法が根治術となります。一部の軽度な症例のみ、埋没法で対応します。
加齢による逆さまつげは、そのゆるみ方によって2パターン埋没法を使い分けています。
約8割の症例で水平と垂直の両方の弛緩を認め、1本で広範囲な埋没法(Wide everting suture)を施行します。
残りの2割の症例では、水平方向のテンションは保たれており、垂直方向のみを2カ所矯正する埋没法(Everting suture)を施行します。
どのパターンの埋没法も、出血も少なく、2~3分と短時間で施行可能です。
2021年05月16日 国内学会発表・講演
第8回 日本眼形成再建外科学会
詳細情報
コメント
Web開催となりました眼形成学会ですが、
今回は、6名の演者によるそれぞれの眼瞼下垂手術について、討論する企画に参加させていただきました。
私の主な眼瞼下垂手術(挙筋前転法)の術式として習得した順番として、①挙筋腱膜前転、②挙筋短縮術、③ミュラー筋タッキング、④ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転という流れで現在に至っております。
各術式には、一長一短がありますので、症例に応じて、最適と思われる術式を選択するようにしております。
当院では、軽度な症例に挙筋前転法、中等度以上の症例にミュラー筋タッキングをベースとして、必要に応じて挙筋腱膜前転を術中に追加しております。
今回、ミュラー筋タッキング+挙筋腱膜前転について、私が実感するメリットを含めて、解説させて頂きました。