最新の院外活動

2015年10月23日 国内学会発表・講演

第69回 日本臨床眼科学会 

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インストラクションコース 眼形成の基本vol.13

眼瞼下垂 挙筋短縮術

林 憲吾

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今年のインストラクションは、眼瞼下垂に焦点を絞って、上眼瞼皮膚弛緩、挙筋腱膜前転法、ミュラー筋タッキング、挙筋短縮術、前頭筋吊上げ術について各演者が説明しました。

今回、私は挙筋短縮術について解説させて頂きました。拳筋短縮術は挙筋腱膜とミュラー筋の両方を短縮しますので、眼瞼を挙げる矯正力が強いというメリットがあります。その反面、手術手技が難しく、手術時間もかかるというデメリットもあります。

実際の手術動画と眼瞼模式図を合わせて解説し、この手術で最も難しいポイントであるミュラー筋を瞼板と瞼結膜から剥離する手技を使用する機器別に説明しました。

通常、眼科では、スプリング剪刀という繊細なハサミを使用して眼瞼内の組織を切開します。わたくしも10年以上この剪刀を使用して眼瞼手術を行ってきましたが、高周波メス(電気メス)を使用すると、ミュラー筋の剥離が容易ですので、この点についても両者の動画を比較して解説しました。

軽度から中等度の眼瞼下垂には、挙筋腱膜の前転だけで眼瞼は挙がりますが、重度の眼瞼下垂に対しては挙筋腱膜のみでは対応ができないことがあります。そのような場合、手術中に挙筋腱膜前転法から挙筋短縮術へ切り替える必要があります。実際の切り替えの動画を含めて解説しました。

 

2015年09月05日 国内学会発表・講演

第30回 眼窩疾患シンポジウム 

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兎眼矯正術としての挙筋切離の術中定量と術後経過

林 憲吾

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まぶたが閉じれない兎眼の状態(上眼瞼後退)の原因としては、顔面神経麻痺や甲状腺眼症、眼瞼下垂症手術の過矯正、外傷の瘢痕など様々な疾患が挙げられます。まぶたを下げる手術として、挙筋を切離する様々な方法がありますが、術後に再びまぶたが挙がって閉じれない状態に戻ることがあります。しかし、その将来的な戻りの幅は術中に予測が困難なため、切離の方法や切離した挙筋と瞼板の間にスペーサーを入れる手術など様々な工夫が報告されています。

今回の発表では、私の手術動画やその術後経過について、報告しました。

2015年05月24日 国内学会発表・講演

第7回 神奈川眼科学会

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陳旧性の顔面神経麻痺による下眼瞼外反を伴う兎眼に対する静的再建術を施行した2例

林 憲吾、林 孝彦、鈴木 岳人

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通常の加齢に伴う下眼瞼の外反であれば、単純な水平方向の短縮のみで解消することが多いのですが、顔面神経麻痺による下眼瞼の外反は、下眼瞼の下垂も伴うため、単純な水平方向の短縮のみでは、下眼瞼がさらに下垂した状態で固定してしまうため、外上方向に引き上げて固定する必要があります。

今回、脳腫瘍摘出後の顔面神経麻痺による兎眼と角膜混濁の2症例で、前医形成外科で自家筋膜を使用した下眼瞼の静的再建術を施行されていましたが、下眼瞼の外反と兎眼が見られ、角膜上皮障害および混濁が著明であったため、当科にて眼瞼の再手術を施行しました。下眼瞼の外反に対して、眼窩縁の表面に移植された筋膜を切離し、Lateral tarsal stripという術式で下眼瞼の瞼板を外側の眼窩縁の裏面の骨膜へ固定することで、眼球から浮いていた下眼瞼の瞼結膜を眼表面へ接触するように調整しました。

さらに1例は上眼瞼にゴールドプレートを移植されていましたが、平らなゴールドプレートが皮膚側に突出し、皮膚が薄くなり露出する危険性があったため、プレートを摘出し、眼球曲面に沿ったカーブに曲げ直し、再度瞼板上に固定しました。

再建後、下眼瞼の外反と閉瞼不全(兎眼)は解消し、開閉瞼の状態と角膜上皮の状態は改善しました。

 

2015年05月11日 執筆著書

日本眼科手術学会雑誌

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トピックス

眼瞼形成術の現状

林 憲吾

日本眼科手術学会雑誌 28:207-211,2015.

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眼瞼下垂症手術の各アプローチ法について、適応と模式図および術中の写真を含めて解説しました。さらに海外での術式の選択についても国内と比較して紹介しました。

国内では皮膚を切ってまぶたの中に入る経皮アプローチが主流です。一方、欧米では経皮アプローチは一般的に行われていますが、まぶたの裏の結膜から入る経結膜アプローチも多く行われています。

術式として、挙筋腱膜タッキング、挙筋腱膜前転法、Muller筋タッキング、挙筋短縮術、前頭筋吊上げ術を模式図と術中写真とともに解説しました。

また、挙筋機能不良な先天性眼瞼下垂などに適応される前頭筋吊り上げ術に使用する吊り上げ材料についても国内外の現状について紹介しました。国内では乳幼児には一時的な吊り上げとしてナイロン糸などの縫合糸を使用して、4歳前後から永続的な効果を期待できる大腿筋膜やゴアテックスシートなどが使用されることが多いですが、アメリカの眼形成学会のメンバーによるアンケート結果をまとめた報告では、日本国内では販売されていないシリコンロッドを使用することが最も多いようです。

2015年05月08日 国内学会発表・講演

βの会  2015.5.8.

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 DCR鼻外法・鼻内法

林 憲吾

2015.5. βの会 DCR

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稲村眼科で行われる「βの会」という勉強会で、涙道閉塞に対する涙道チューブ挿入と、そのチューブ挿入で再閉塞する症例に対する涙嚢鼻腔吻合術(DCR)の実際の手術動画と模式図を合わせて解説いたしました。DCRは皮膚を切って行う鼻外法と鼻の中から内視鏡を用いて行う鼻内法とがあります。両者を比較して説明いたしました。

2015年02月01日 国内学会発表・講演

第38回 日本眼科手術学会 Film Festival 部門賞 受賞

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退行性下眼瞼内反症に対するゴアテックスR糸を用いた水平方向の広範囲な埋没法

林 憲吾

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加齢による退行性下眼瞼内反症(老人性の逆さまつ毛)は、垂直方向と水平方向の弛緩が原因と言われています。治療法として、切開法(Jones変法やlateral tarsal stripなど)は、再発率が低いのですが、手術時間が長く、侵襲も大きいため、患者さんへの術中の負担がデメリットと言えます。

一方、埋没法は簡単で手術時間も短いのですが、従来の埋没法は数か所、点状に垂直方向のみを矯正するもので、再発率は20%前後と高率であることが、報告されていました。

そこで、私は2008年から垂直方向と水平方向を同時に短縮するように1本の糸で広範囲に通糸する埋没法(Wide Everting Suture)を考案し、41例で術後平均1年で再発率は7.4%とその良好な成績を2011年の日本眼科学会雑誌に報告しました。

しかし、その当時使用していた糸が7-0ポリプロピレンと非常に細い糸であったため、長期的な張力の維持のため、使用する糸をゴアテックスという素材の太い糸(CV-5)に改良しました。この糸は血管外科領域で人工血管との吻合などにも使用される生体適合性に優れ、長期的劣化も少ないという特徴があります。

今回、44例で術後平均約1年で再発率は6.8%と良好な結果が得られましたので、実際の手術動画をFilm Festivalで発表し、部門賞を頂きました。この埋没法は5分程度と短時間で、患者さんへの負担も少ないため、第一選択と考えております。

私の経験では、この埋没法でも長期的みると10人中1人は、再発する傾向がありますので、再発した方のみ、再手術として切開法をお勧めするようにしています。

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